日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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シンポジウム
在宅で経口摂取を続けるためには
―耳鼻咽喉科医師によるアプローチ―
西山 耕一郎
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2020 年 29 巻 2 号 p. 206-209

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抄録

団塊の世代が75歳以上となる2025年を目前に,嚥下障害がCommon Diseaseとなった.医療者は,嚥下障害の対応から避けて通れない状況にある.

嚥下機能が低下すると,液体や食物を誤嚥して肺に入り,嚥下性肺炎を発症する.唾液を誤嚥する場合や,胃の内容物が逆流しても肺炎を発症する.呼吸機能と体力が,嚥下機能に相関することも報告されている.高齢者の肺炎の特徴は,症状が乏しいので発見が遅れ気味となり,また繰り返しやすく,完治は難しい.しかしながら嚥下機能を正しく評価し,嚥下訓練と食事形態の変更を行えば,経口摂取を続けられる症例を経験する.嚥下機能低下例において,嚥下機能を正しく評価しないまま経口摂取を続ければ,誤嚥性肺炎を発症する.

日本耳鼻咽喉科学会ガイドラインにて,嚥下内視鏡(VE)による兵頭スコアが提示された.兵頭スコアを使用すれば,嚥下機能に対応した食形態を指導することができる.

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© 2020 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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