デュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy; DMD)などの神経筋疾患患者の慢性呼吸不全の治療は,非侵襲的陽圧人工呼吸(noninvasive positive pressure ventilation; NPPV)が第一選択である1,2,3,4,5,6).神経筋疾患は呼吸不全の進行に伴い,NPPV使用時間を睡眠時に加えて昼間の覚醒時に延長することもある7,8,9).終日までのNPPVにより,気管切開を回避してDMD患者の延命が可能となってきており7,10,11,12,13),そのノウハウは他の神経筋疾患にも応用が可能とされる.神経筋疾患の経験は,重症心身障害児(者)に対する呼吸ケアにも役立てられる14).これらの小児期発症のNPPVの効果では,インターフェイスと人工呼吸器条件を適切にする工夫と技術が求められる15).インターフェイスは,快適性とエアリークコントロールを要する.呼吸筋力が低下した神経筋疾患患者において,現状の携帯型人工呼吸器では,睡眠時のトリガの設定が困難なことがあり,REM期に上気道の狭窄を伴い易いことが知られている16).これらに対して,睡眠時に呼気弁を用いた閉鎖回路でのターゲットボリューム活用の効果が検討されている16).また,終日NPPV例に睡眠時と覚醒時の複数の条件設定を使い分ける方法がある.
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