高齢慢性呼吸器疾患患者の日常生活訓練を実施する際,指導を正しく理解できないこと,自身の動作に固執することをしばしば経験する.高齢慢性呼吸器疾患患者の呼吸ケアを行う際に必要な高次脳機能障害及び認知機能障害に対する対処法を概説する.慢性閉塞性肺疾患や間質性肺炎などの慢性呼吸器疾患を有する患者は,呼吸器疾患の既往がない高齢者に比べて,認知機能が低下している. 慢性呼吸器疾患患者で認知機能が低下する原因はまだ明らかにされていないが,慢性的な低酸素血症や全身性炎症が関連していると考えられている.また,その対策としては,運動療法や適切な酸素療法が有効であり,患者教育を行うためには行動変容を行うことが最も重要であると報告されている.