日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2189-4760
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29 巻 , 3 号
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スキルアップセミナー
  • 沓澤 智子
    原稿種別: スキルアップセミナー
    2021 年 29 巻 3 号 p. 359-364
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
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    サルコペニアは,筋量低下に加えて,筋力の低下または身体機能の低下を伴う場合を表す.フレイルは加齢に伴う予備能力の低下のため,ストレスに対する回復力が低下した状態で,健康な状態と要介護状態の中間として位置づけられている.高齢化がすすむ日本では,サルコペニア・フレイルが高齢者の健康寿命の延伸を目指すうえで重要な病態である.日本のサルコペニア・フレイルの診療ガイドが発表され,統一した基準で診断されるようになった.サルコペニア,フレイルともに高齢住民の約10%くらいに認められているが,COPD患者では有病率が高い.両者とも運動・栄養が予防・治療の中心となる.

  • ―認知機能障害に対する対応―
    岡島 聡, 前田 和成, 東本 有司, 本田 憲胤, 白石 匡, 杉谷 竜司, 岸本 英樹, 西山 理, 福田 寛二, 東田 有智
    原稿種別: スキルアップセミナー
    2021 年 29 巻 3 号 p. 365-368
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
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    高齢慢性呼吸器疾患患者の日常生活訓練を実施する際,指導を正しく理解できないこと,自身の動作に固執することをしばしば経験する.高齢慢性呼吸器疾患患者の呼吸ケアを行う際に必要な高次脳機能障害及び認知機能障害に対する対処法を概説する.慢性閉塞性肺疾患や間質性肺炎などの慢性呼吸器疾患を有する患者は,呼吸器疾患の既往がない高齢者に比べて,認知機能が低下している. 慢性呼吸器疾患患者で認知機能が低下する原因はまだ明らかにされていないが,慢性的な低酸素血症や全身性炎症が関連していると考えられている.また,その対策としては,運動療法や適切な酸素療法が有効であり,患者教育を行うためには行動変容を行うことが最も重要であると報告されている.

  • 福井 基成, 北島 尚昌
    原稿種別: スキルアップセミナー
    2021 年 29 巻 3 号 p. 369-376
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
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    呼吸器疾患患者を診療するうえで,各種モニタリングは欠かせない.特に呼吸不全を呈している患者のケアでは,安静時の低酸素血症や高二酸化炭素血症,労作時や運動時の低酸素血症や運動耐容能,さらに睡眠時の無呼吸・低呼吸や低換気などを正確に知るために,動脈血ガス分析,SpO2モニタリング,経皮CO2モニタリング,睡眠ポリグラフ検査などが臨床で実施されている.特に酸素療法や非侵襲的換気療法の導入時には,これらを積極的に用いて患者の病態を正確に把握し,また治療効果を確認することが重要である.睡眠時のモニタリングによって,慢性呼吸不全患者においては,REM睡眠時を中心に低換気をしばしば生じていることが分かってきており,この有無がCOPDの増悪回数や肺高血圧などと関係することが明らかになってきている.ここでは,各種モニタリングについて解説するとともに,睡眠時低換気の検出方法およびその意義についても述べたい.

  • ―QOLをはかってみよう!―
    小賀 徹
    原稿種別: スキルアップセミナー
    2021 年 29 巻 3 号 p. 377-380
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
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    治癒や延命を超え,患者の生活・健康への影響といった質を重んじる時代になった.これらは医療者では正しく判断できず,主観を科学的に扱う学問として,患者報告型アウトカムが発展し,quality of life(QOL)はその代表である.QOLの改善はCOPDの治療管理目標にも掲げられるが,QOLは標準化された客観的な尺度の質問票を用いて,主観的に評価し定量的に表現される.QOLは,呼吸機能など生理学的指標との関係は強くなく,別々に評価する必要がある.COPDにおいては,疾患特異的質問票であるSt. George’s Respiratory Questionnaireが頻用され,呼吸器疾患全般において有用性が検証された.しかし慢性呼吸不全では十分ではなく,私たちはSevere Respiratory Insufficiency Questionnaireの日本語版を作成し,臨床試験に応用した.

  • 神津 玲
    原稿種別: スキルアップセミナー
    2021 年 29 巻 3 号 p. 381-385
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
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    運動療法は,呼吸リハビリテーションの中心となるプログラムであり,運動そのものを治療手段として適用することである.運動療法における評価は,①(最大)運動能力ならびに運動時身体反応の特徴の把握,②運動制限因子の推定,③運動負荷におけるリスクの特定,④運動処方を主な目的とする.評価にあたっては,各項目の結果がこれらのどの目的に寄与するかを考える必要があり,安全で効果的なプログラムを提供する上で常に意識する.また,運動処方の修正と運動療法効果の確認のためには,特に呼吸困難,運動能力,日常生活活動能力を中心に定期的に評価を行う必要がある.

教育講演
  • 長谷川 智子
    原稿種別: 教育講演
    2021 年 29 巻 3 号 p. 386-390
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
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    看護における疑問を解決するための研究論文をどんどん世に発表しなければならない.看護研究の意義には,【あまり知られていない特定の現象を記述できる(例:一人暮らしの終末期COPD男性の生き別れた家族に対する思いと看護ケア)】,【看護ケアを計画するときに考慮すべき現象を説明できる(例:急性発作を繰り返す喘息患者への吸入指導とその効果)】,【望ましくない結果の発生を抑制できる(例:高齢COPD患者の感染予防に向けた看護ケア)】,【対象者から望ましい行動を引き出す活動が始められる(例:COPD患者の自己効力感を向上させるための看護ケア)】などがある.看護研究の題材は,臨床での小さな疑問にあり,それらの疑問を答えることができれば,研究として十分意義があるものである.呼吸器に関する看護研究はまだまだ少ないため,今後,呼吸器疾患における看護の質の向上のためにも看護研究を行っていかなければならない.

  • 吉澤 明孝, 吉澤 孝之
    原稿種別: 教育講演
    2021 年 29 巻 3 号 p. 391-395
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
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    緩和ケアとは命を脅かす疾患において行われるとWHOでは定義している.日本でも非がんの緩和ケアへの取り組みが始まっている.呼吸器疾患において,特に在宅緩和ケアにおけるACPは重要である.患者・家族の思いを十分に傾聴することで呼吸苦など身体的苦痛だけでなく,心的・社会的不安や精神的苦痛,スピリチュアルな苦痛をトータルペイン(全人的苦痛)として地域緩和ケア(多職種)で受け止め,病状とともに変化する患者・家族の意向に沿って柔軟に方針を変更することで,在宅で家族とともに楽しく過ごせる時間を実現できると考える.地域緩和ケアに携わる我々は繰り返し多職種でACPを行うことを忘れてはならない.

ワークショップ
共同企画
  • ―我が国に於ける遠隔医療の歩み―
    長谷川 高志
    原稿種別: 共同企画
    2021 年 29 巻 3 号 p. 407-411
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
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    オンライン診療の保険収載により遠隔医療への注目が高まり,様々な診療行為への遠隔医療の浸透が始まった.遠隔モニタリングはオンライン診療と異なる遠隔医療手法として独立に発展して,適用対象の拡大,臨床効果の実証,診療報酬化が先行している.遠隔モニタリングを含む遠隔医療の発展では,臨床手法のみでなく,医療制度,医師法,診療報酬,工学技術が大きな位置づけを占めている.医療上の位置づけの確定,有効性の実証,モラルハザードの回避などの課題があり,それに伴う医師法や診療報酬上の議論や制約が長く続いてきた.その検討の過程で,遠隔モニタリングは制約からいち早く抜け出して,日常生活の中での治療,重度慢性疾患患者の生活復帰などの手段としての発展が期待される.制度の発展を振り返り,政策的推進に重要な医療技術評価モデルとして,原理や有効性,形態,対象などを示し,今後の発展の方向性を展望する.

  • 中村 昭則
    原稿種別: 共同企画
    2021 年 29 巻 3 号 p. 412-415
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
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    人工呼吸器等の医療機器は高機能・小型化され在宅利用が進んでいる.しかし,機器のアラーム発生時には迅速な対応が求められることがあるため,医療関係者や介護者家族には少なからぬ心的負担が生じている.また,災害時等に備えて代替機器,バッテリー,酸素の確保が必要である.そこで,在宅医療機器に発生したアラーム情報をネットワーク経由で介護者家族,訪問看護ステーション,医療機器管理会社や医療機関に伝送することにより可及的速やかに事態の収束を目的に,医療機器のシリアルまたはUSBポートから出力されるアラームや機器情報をデバイスゲートウェイを介して高セキュリテイー(SSL)下に置かれた専用クラウドサーバーに伝送し,多地点のPCやモバイル端末へ配信を可能とするシステムを開発した.一方,機器の外部出力情報フォーマットの公開や標準化,異常発生時のリスクマネジメントやアラーム疲労への対策も必要である.

  • 大平 峰子, 金子 弘美, 山中 悠紀, 石川 朗, 藤本 圭作
    原稿種別: 共同企画
    2021 年 29 巻 3 号 p. 416-418
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
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    少子高齢社会のなかで限られた医療・介護資源を有効活用するには関係機関が連携し,共通認識を持って効果的かつ効率的な支援を行うことが必要となる.我々が実施している慢性呼吸不全患者に対する訪問看護を導入した多施設間包括的呼吸リハビリテーションプログラムにおいてもデイサービスやホームヘルパーとの関わりは欠かせないものとなっており,地域における多職種連携の重要性は益々高まっている.ただ,医療職と非医療職の関わりのなかで十分な情報の共有や相互理解が難しい事態に遭遇することも多く,これらの問題を解決する手段として情報通信技術(ICT)の利活用が推進されている.本稿では医療と介護に携わる職種間での情報共有を目的として信州呼吸ケア研究会で立ち上げた信州リンクの取り組みを紹介し,情報共有ツールを運用するなかでみえてきたICT活用による多職種間での情報共有のポイントおよびシステム運用上の課題について述べる.

  • 門脇 徹
    原稿種別: 共同企画
    2021 年 29 巻 3 号 p. 419-423
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー HTML

    体外式陽陰圧人工呼吸(Biphasic cuirass ventilation:以下BCV)は主に胸腹部前面に装着するcuirassを通じて行う陽陰圧式人工呼吸である.陽圧換気が主体の現在では非常にminorな呼吸管理法であることから,あまり注目されず普及が進んでいない.しかしながらsecretion clearanceモードを利用した排痰促進やcontrolモード・continuous negativeモードにより陰圧呼吸を提供できる換気方式(人工呼吸器)であり,使い慣れると非常に有用な治療選択のひとつとなる.

  • 竹川 幸恵
    原稿種別: 共同企画
    2021 年 29 巻 3 号 p. 424-429
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー HTML

    慢性呼吸器疾患患者が,最期まで尊厳を持って自分らしく生き抜くためには,アドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning: ACP)をチームで取り組むことが重要である.ACPにおける看護師の役割は,パートナーシップの関係を構築し,適切なACPのプロセスを丁寧に進め,患者の持てる力を引き出しながら患者が主体的にACPに取り組むことができるよう,そして望む医療・ケアをうけその人らしく生き抜くことができるように支援することである.中でもACPのプロセスにおいて,対話による患者の価値観の明確化および家族・医療者との共有は重要であり,患者・家族の話を傾聴・共感しながら意図的に対話を進める技術を有している看護師のACPにおける役割は大きい.

    チームの中で看護師が役割を果たすためには,パートナーシップの関係を早期に構築する能力,意図的に対話し価値観を明確にする能力,患者・家族の考えの共有および合意形成への調整能力などが必要である.

ランチョンセミナー
  • 藤本 圭作, 川内 翔平
    原稿種別: ランチョンセミナー
    2021 年 29 巻 3 号 p. 430-435
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
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    COPDにおいて動的肺過膨張は労作時息切れおよび運動能力を規定する重要な因子の1つであり,特に肺過膨張が顕著な患者や気腫優位型COPDにおいて重要な因子である.しかし,動的肺過膨張は患者に運動負荷をおこない,経時的に最大吸気量を測定し,その減少量で評価される.測定には高価な設備と機器が必要であり,日常の臨床においてはほとんど評価されていない.そこで我々は動的肺過膨張が呼吸数の増加に依存することから,運動負荷はおこなわず,段階的に呼吸数を増加させる過呼吸法により動的肺過膨張を定量的に評価できる方法とその有用性を報告し,専用のスパイロメーターを開発した.従来法と過呼吸法との間には極めて良好な相関があり,運動耐容能を予測することも可能である.日常診療で簡単に動的肺過膨張が評価できるため,気流閉塞のみならず動的肺過膨張に対する治療効果の評価が可能となる.

  • 伊藤 理
    原稿種別: ランチョンセミナー
    2021 年 29 巻 3 号 p. 436-440
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー HTML

    COPDに併発する悪性腫瘍には,喫煙関連疾患である肺癌や食道癌など,呼吸器および消化器領域の癌が含まれる.胸部や腹部の手術に際して,COPDの併存は術後の死亡や呼吸器感染症など術後合併症のリスク因子となる.術後離床を促進し,合併症を防止するために,周術期リハビリテーションが重要な役割を果たしている.術後の合併症リスクを予測し,リハビリテーションを効率よく進めるために,術前に身体機能を評価することが重要となる.術前の運動耐容能を把握する手法として,6分間歩行試験は簡便かつ有用な評価法と期待される.COPDに対する長時間作用性抗コリン薬および長時間作用性β2刺激薬を中心とする気管支拡張薬治療,術前評価としての身体機能評価を含めた,集学的な周術期リハビリテーションプログラムの確立が望まれる.

  • 角 謙介, 坪井 知正, 茆原 雄一, 堀 圭一朗, 西田 憲二, 高木 康仁, 桑原 明日香, 右野 久司
    原稿種別: ランチョンセミナー
    2021 年 29 巻 3 号 p. 441-445
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー HTML

    安定期COPD患者に対するHFNC治療は,有用とされる報告は増えているがまだ少ない.しかし通常の鼻カヌラによるLTOT/HOTに比して,HFNCは安定したFiO2・加湿・フローの供給,死腔換気量の減少などメリットは大きく,今後大いに期待される治療である.

    長年統一見解が示されなかった安定期COPD患者に対するNPPV治療は,近年高いIPAPと高いback up呼吸数を設定する“High-intensity NPPV”が有用である可能性が示された.ただ高いIPAP圧はあくまでも手段であって,大切なのは高CO2血症をコントロールすることである.また欧米で推奨される高いIPAP圧を,人種も体格も違う日本人に同じ圧で当てはめることには注意が必要である.

    またこれらの呼吸管理の導入にあたっては,リハビリテーション,薬剤・栄養の介入,在宅での詳細な計画立案などさまざまな包括的サポートが不可欠である.

原著
  • 近藤 香苗, 小林 尚司, 長谷川 喜代美, 森田 一三
    原稿種別: 原著
    2021 年 29 巻 3 号 p. 446-452
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー HTML

    【目的】慢性閉塞性肺疾患(COPD)の呼吸管理の状況別における,患者教育を実施している看護師の割合の違いを明らかにする.

    【方法】呼吸器科に勤務する看護師にCOPD患者教育の各項目について,在宅酸素療法(HOT)を実施してない,HOTを実施している,在宅人工呼吸器を実施している患者への実施の有無を尋ねた.

    【結果】治療における自己管理の重要性,患者の自己管理でおきうる問題点,セルフモニタリングの3項目については,3つの患者群間で看護師による患者教育実施率に差があった.HOTを実施していない患者ではそれぞれ62%,59%,41%であり,HOTを実施している患者の85%,82%,67%および在宅人工呼吸を実施している患者の79%,76%,65%と低値であった.

    【結論】COPD軽症者に対する疾患の自己管理の患者教育実施率は重症者に比べて低く,看護師が中心にCOPD患者教育が行える仕組みが課題である.

  • 白石 匡, 東本 有司, 杉谷 竜司, 水澤 裕貴, 藤田 修平, 西山 理, 工藤 慎太郎, 木村 保, 福田 寛二, 東田 有智
    原稿種別: 原著
    2021 年 29 巻 3 号 p. 453-459
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー HTML

    【はじめに・目的】呼吸リハビリテーションにおいて,吸気筋トレーニング(IMT)の有効性は確立されつつある.しかし,横隔膜の動きを考慮した適正負荷圧の設定方法は確立されていない.本研究の目的は,横隔膜のトレーニングにおいて最も効果的な,IMTの負荷圧を検証することである.

    【方法】対象は健常男性20名.クロスオーバーデザインで実施.IMT負荷圧を最大吸気圧(PImax)の30%,50%,70%に無作為割付け,1週間の間隔をあけて異なる負荷圧で計3回IMTを実施.超音波診断装置(M-mode)にて最大吸気位から最大呼気位までの横隔膜移動距離(Maximum Diaphragm excursion: DEmax)を測定した.

    【結果】30%PImaxによるIMT実施でDEmax(r=0.31,p<0.05),IC(r=0.64,p<0.05)に有意な増加を認めた.50%PImaxにおいてはDEmax(r=0.82,p<0.01),VC(r=0.34,p<0.05),IC(r=0.74,p<0.05)に有意な増加を認めた.

    【結論】健常者に対するIMTでは,中等度負荷が最も横隔膜に対して効果がある可能性が示唆された.

  • 今田 潤, 江口 彰, 吉川 昌輝, 高松 和彦, 新 倫昌, 森谷 貴子, 須堯 敦史, 淵本 康子, 金廣 有彦
    原稿種別: 原著
    2021 年 29 巻 3 号 p. 460-466
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー HTML

    【目的】70歳以上の高齢者は低栄養が生じやすく,入院中に日常生活活動(activities of living:以下ADL)がさらに低下する症例が多い.低栄養を伴う誤嚥性肺炎患者の在院日数に焦点をあて,それぞれの影響について検討した.

    【方法】2017年4月から2019年3月までに誤嚥性肺炎と診断され当院入院となった91名を対象とした.入院時の体格指数(body mass index:以下BMI)が18.5未満をU群(42名),BMI 18.5以上をN群(49名)とし,Barthel Index(BI),栄養関連指標,血液データ等について2群間で比較検討した.

    【結果】U群においてGeriatric Nutritional Risk Index(以下GNRI)は有意に低値(U群:77.0±7.7点,N群:89.8±11.9点)であり,在院日数では有意な延長(U群:25.5±17.7日,N群:17.2±9.6日)が認められた.両群ともGNRIと在院日数に有意な負の相関関係を認めた(U群:r=-0.465,N群:r=-0.401).在院日数に影響する独立した因子としてGNRIが抽出された.

    【結語】在院日数には入院時の栄養状態が影響し,入院時の栄養状態評価は予測因子として有用である可能性が指摘された.

  • 今戸 美奈子, 竹川 幸恵, 本城 綾子, 伊藤 史, 河田 照絵, 毛利 貴子, 松本 麻里, 森 菊子, 森本 美智子
    原稿種別: 原著
    2021 年 29 巻 3 号 p. 467-474
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
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    【背景及び目的】慢性呼吸器疾患患者の息切れへの支援の質向上を図るため,認定看護師を対象に息切れマネジメント支援の教育プログラムを行い評価した.

    【対象】本研究への参加希望があった慢性呼吸器疾患看護及び訪問看護の認定看護師138名.

    【方法】非無作為化2群間事前事後比較試験とした.介入群には1回3時間の講義・演習を2回実施,対照群は介入なしの条件で,事前と事後(介入3か月後)で息切れマネジメント支援の実行頻度と自信の程度を自記式質問紙により調査し,二元配置分散分析を用いて分析した.

    【結果】介入群48名,対照群44名を分析対象とし,息切れマネジメント支援の実行頻度と自信はいずれも群と時間(事前,事後)の交互作用を認め,介入群では事後に息切れマネジメント支援の実行頻度及び自信が有意に増加した.

    【考察】本プログラムは認定看護師の息切れマネジメント支援の質向上に効果があることが示唆された.

  • 大野 一樹, 髻谷 満, 山根 主信, 髙尾 聡, 大松 峻也, 川原 一馬, 黒山 祐貴, 森 広輔, 豊田 裕規, 吉田 直之, 千住 ...
    原稿種別: 原著
    2021 年 29 巻 3 号 p. 475-479
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
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    肺非結核性抗酸菌症(肺NTM症)患者において,運動耐容能の低下を臨床上多く経験するが,その実際は明らかでない.本研究の目的は,肺NTM症患者の運動耐容能の特徴を明らかにすること,また運動耐容能と身体機能,自覚症状との関連を調査することである.複十字病院入院中の女性肺NTM症患者68名を対象とし,漸増シャトルウォーキング試験(ISWT)にて運動耐容能を評価した.身体機能として,下肢筋力,握力,呼吸機能,息切れ(mMRC)の評価を行った.また,ISWTと身体機能の関連を調査し,重回帰分析にてISWTの予測因子を抽出した.ISWT歩行距離は 401±123 m,対標準値は81.4±21.0%であった.また,運動耐容能と%VC,下肢筋力,%FEV1,握力は正の相関,mMRCと年齢は負の相関を示した.重回帰分析の結果,mMRC,下肢筋力がISWTの独立した予測因子として抽出された.肺NTM症は他の呼吸器疾患と同様に運動耐容能が低下しており,筋力や呼吸機能,息切れと関連していることが明らかとなった.

症例報告
  • 大島 洋平, 森 裕樹, 佐藤 達也, 濱田 涼太, 吉岡 佑二, 佐藤 晋, 松田 秀一
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 29 巻 3 号 p. 480-483
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
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    無気肺・排痰困難に対して標準的な呼吸リハビリテーションの効果が乏しく,トランポリンを用いた運動療法が有効であった2例を経験した.1例は原発性肺癌に対して右下葉切除術を施行し,無気肺が遷延した症例,1例は重症肺炎発症後に排痰困難となり,呼吸不全及び呼吸困難が残存した症例である.この2例に排痰手技を含む標準的な呼吸リハビリテーションを施行するも,改善は乏しかった.そこで,トランポリン運動を試みたところ,著明な喀痰の自己喀出を得て,画像所見及び低酸素血症の改善を認めた.トランポリン運動が腹部臓器を介して横隔膜の受動運動を誘発し,換気を促進させたことで痰の喀出が得られたものと推察された.

  • 喜古 勇, 千葉 哲也, 梅津 美奈子, 井上 博満, 森田 瑞生
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 29 巻 3 号 p. 484-487
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー HTML

    HFNCの適応は広がりつつあるが,HFNCを使用しながらのリハビリテーションの報告は少ない.今回,2型呼吸不全の急性増悪患者に対し,HFNC使用中からバッテリー搭載機器に変更し積極的な歩行練習を含めた呼吸リハビリテーションを実施した.その結果,PaCO2の低下や,ADLが向上し自宅退院に至った症例を報告する.本症例のように2型呼吸不全患者でも,HFNC使用により軽度のPaCO2低下やHFNC使用中から連続した歩行練習をすることで,身体機能が維持されADLの再獲得が可能であると考える.

  • 小森 清伸, 木村 純子, 藤原 望, 前野 佳与子, 藤井 宏一, 妻鹿 旭, 小畠 久和
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 29 巻 3 号 p. 488-491
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー HTML

    症例は63歳女性.他院入院後に呼吸状態悪化を認め,画像上びまん性肺胞出血疑いおよび縦隔気腫と診断の上,治療目的に当院に転院したが,著明な低酸素血症を認め,入院同日にveno-venous extracorporeal membrane oxygenation(以下;VV-ECMO)を導入した.覚醒時のECMO下での患者の状態は安定しており,積極的理学療法を実施することを計画した.その際の各職種の役割や中止基準等,多職種間で話し合いながらリハビリテーション計画を作成した.ECMO導入中に起立・足踏み練習まで可能となり,VV-ECMO・人工呼吸器離脱後まもなく歩行練習を開始した.第33病日,自宅独歩退院した.

    VV-ECMO装着下でのリハビリテーションに確立されたエビデンスはないが,今回,多職種協働で早期から理学療法を実施したことにより運動機能低下を予防し,良好な転帰を得たと考えられた.しかし,ECMOは侵襲的かつ高度な医療技術であり,理学療法の適応や方法について検討を続ける必要がある.

研究報告
  • 藤原 美紀, 真柳 紀子, 住谷 充弘, 西村 美沙子, 三木 雄三, 阪本 敦子, 亀井 靖子, 杉山 由香里, 少路 誠一
    原稿種別: 研究報告
    2021 年 29 巻 3 号 p. 492-497
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/20
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    【目的】急性期病院における慢性呼吸器疾患患者の終末期インフォームド・コンセント(以下,IC)の現状を調査し,課題を明らかにする.

    【方法】当院呼吸器内科医師がIC時に急変時ケア計画書を用いて,終末期に望むあるいは望まない医療の確認を行った慢性呼吸器疾患患者61名の内,担癌患者を除く45名(入院43,外来2)を対象に,後ろ向きに診療録から患者背景,ICの時期と内容,患者・家族等の反応,急変時ケア計画書の内容を調査した.

    【結果】平均年齢78.5±7.3歳,入院経路は救急搬送が62.8%,次いで外来からの緊急入院が34.9%であった.ICの時期は,緊急入院3日以内が51.1%と多く,入院転帰は,退院37.2%,転院32.6%,死亡30.2%であった.ICは,42.2%の患者が本人抜きで行われていた.

    【考察】急性期病院では,より良い最期を迎えるために患者・家族等の意思決定を支え,次の療養の場に繋げていくこと,さらには連携ネットワーク体制の構築が課題であると考える.

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