特発性肺線維症(IPF)の急性増悪をはじめとして,間質性肺炎における急性呼吸不全は予後不良として知られている.間質性肺炎の呼吸管理においては気管挿管による人工呼吸が忌避される傾向があり,HFNCOTやNPPVといった非挿管による呼吸管理に注目が集まっている.
一般に,HFNCOTは最大60 L/minまでの高流量の混合酸素を十分な加湿のもとに投与できる特殊な酸素療法だが,PEEP様効果や死腔洗い出し効果など特徴的な臨床効果が期待でき,本邦においても間質性肺炎におけるHFNCOTの使用頻度は増加している.間質性肺炎におけるHFNCOTの有効性を示す報告もみられてきているが,さらなる経験の集積が必要である.また,間質性肺炎急性増悪は必ずしも救命が可能な病態とは限らない.患者個々の背景によって呼吸管理を慎重に行うことが重要である.状況に応じて各種のデバイスを使い分けることが重要であり,中でもHFNCOTは重要な位置を占めつつある.