2022 年 31 巻 1 号 p. 50-53
COPDの治療薬は吸入薬が中心的な役割を演じる.吸入薬は,内服薬あるいは貼付薬と異なり,吸入ディバイスを必要とする.したがって服薬にはアドヒアランスと吸入手技の2点において指導あるいは教育が必要になる.COPDは加齢が疾患進行の因子であるため,自ずと高齢者の方がより重篤になり,積極的な治療介入の機会が増加する.さらに高齢化によって認知機能低下に伴うリテラシー不足や操作ミスの増大あるいは回数増加は避けられない.高齢者は若年者に比較して吸入アドヒアランスは高いとされる一方で吸入手技の誤操作率も高いとされる.吸入指導や教育が困難な高齢患者に遭遇することも少なくない中で,超高齢化が深刻化する日本で吸入薬を中心としたCOPD治療をいつまで継続できるかは今後の残された課題と言えよう.