2024 年 32 巻 2 号 p. 251-256
Platypnea-orthodeoxia症候群(POS)は,起座位で低酸素血症を来たして呼吸困難が増悪し,臥位では改善するという特徴を持つ稀な症候群である.本邦においてPOS症例の報告は少なく,かつ周術期呼吸リハビリテーション(周術期呼吸リハ)を実施した報告はほとんどない.今回,卵円孔開存による右→左シャントによりPOSを有する食道胃接合部癌患者に対し周術期呼吸リハを実施した.術前は仰臥位での理学療法を中心に行い,術後は仰臥位での理学療法に加え経皮的動脈血酸素飽和度に注意し離床を進めた.術後酸素療法期間は延長したが呼吸器合併症を予防することができ,歩行獲得に至った.POS症例に対しても,仰臥位での理学療法を中心に行い経皮的動脈血酸素飽和度に注意しながら離床を行うことで,術後呼吸器合併症を予防しactivities of daily livingの再獲得を図ることが可能であると考えられた.