2025 年 34 巻 2 号 p. 112-114
“がん”は様々な苦痛(suffering)をもたらし,また現在本邦の死亡原因のトップであることから,我が国の「緩和ケア」は,現在に至るまで“がん患者”を中心に展開されてきた.しかしながら,緩和ケアの起源は飢餓や感染症など広く“病める人”へのケアに始まっており,WHOによる緩和ケアの定義でも,「生命を脅かす疾患による問題に直面している患者(とその家族)」が対象と掲げており,慢性呼吸器疾患をはじめとした非がん疾患患者に対しても緩和ケアは適切に提供されるべきである.緩和ケアの重要な役割として,①症状マネジメント,②意思決定支援/療養調整,③終末期ケアが挙げられ,これらの役割を緩和ケアの専門家“だけ”が行うのではなく,プライマリーチームが行う診療の中で緩和ケア専門家としてサポートしていく形が望ましい.我が国で緩和ケアが非がん疾患患者の診療・ケアに浸透していくにあたっては,診療報酬との紐づけなど課題の解決が望まれる.