2025 年 34 巻 2 号 p. 115-119
在宅医療における非がん性呼吸器疾患・呼吸不全の緩和ケア指針の作成に係る基礎データを得るため,国内外のシステマティック・レビュー結果を基に混合研究法(探索的順次デザイン)を用い,在宅医療の現場の質的及び量的評価を行った.在宅医療スタッフへの質的(インタビュー)調査では,効果的な協働的コミュニケーション,介護保険制度や関連するサービス,緩和ケア技能という3つのテーマが抽出された.これらの情報を基に在宅医への量的(実態)調査を行った結果,回答者における呼吸困難の緩和を目的とする呼吸リハビリテーション,モルヒネ,鎮静剤,NPPVの実施状況はそれぞれ73.0%,66.9%,57.3%,55.2%と比較的高かったが,有効と思う割合はさらに高い割合を示した.今回,上記データを基に在宅での臨床に即した緩和ケア指針を作成した.今後,公的支援も含めた非がん疾患の呼吸不全に対する緩和ケアの充実が望まれる.