1996 年 5 巻 3 号 p. 190-193
鼻マスクIPPV(NIPPV)は多量の喀痰を伴う呼吸不全治療には適さないとされている.今回,われわれは多量の膿性痰を伴うびまん性気管支拡張症の急性増悪時(Ⅱ型呼吸不全)にNIPPVを試み,良好な呼吸管理が行えた1例を報告した.過分泌症例にNIPPVを導入する過程の検討から以下のことが示唆された.(1)気道過分泌は自力喀出が可能な限り,NIPPV導入を妨げない.(2)急性例の導入には,患者の協調性が残された早めに導入を試み,高炭酸ガス血症の性急な改善を求めないことが重要である.