日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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原著
慢性呼吸不全患者における入浴指導の検討
木谷 千尋戸谷 千鶴子岩田 敬子米谷 和世南保 千恵子金森 一紀
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1996 年 6 巻 2 号 p. 86-90

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抄録

慢性呼吸不全患者の入浴では,一律に腹式呼吸や動作方法を指導するだけでは,低酸素血症や息切れの改善が得られない.そこで,12分間歩行試験におけるSpO2の低下と息切れの関係に着目し,患者を3タイプに分類した.すなわちAタイプ:SpO2最低値<85%,息切れ(-),Bタイプ:SpO2最低値<85%,息切れ(+),Cタイプ:SpO2最低値≧85%,息切れ(+).そして,SpO2 85%以上を維持し,かつ息切れを軽減させることを目標に,それぞれのタイプ別に入浴指導を行い,A・Bタイプでは低酸素血症の改善,B・Cタイプでは息切れの改善が得られた.指導前後の清潔に関するADLの変化を土居式ADL判定尺度表を用いて評価すると,B・Cタイプでは達成率が改善したが,Aタイプでは酸素吸入量の増加のために達成率が低下した.安全・安楽の面を土居式ADL判定尺度表を用いて評価する場合,低酸素血症の有無を補い,達成率の数値の推移をみていくことが重要であること考えられた.

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© 1996 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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