研究 技術 計画
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企業経営と研究開発の関係に関するシミュレーションの試み : その10 新製品の事業性の上市前評価法について
二宮 和彦
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1999 年 13 巻 3_4 号 p. 157-165

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抄録
経営シミュレーションモデルにより企業の出入力に関する統計的な平均像を求め、それを新製品上市後の事業の目安とする既報(3)の事業性事前評価法を再検討し、1つの事業により期待できる平均像として最適化状態にある企業像を選ぶことによって、より特定された内容の評価法を得ることができた。すなわち最適化状態にある企業像を特徴づけるモデルパラメターの値を開発段階のデータなどから推定する方法を提示し、次にそれらの値を代入することにより、当該新製品を固有の設備を新設して単純に生産し販売する場合の、主要経営指標値を推定する関係式群を示した。また複数の製品群を擁する企業が当該新製品を上市する場合には、母体企業の企業規模と下限販売単価が新規事業の収益性に影響を及ぼすことを示した。さらに付文において、従業員1人当りの売上高は製造業企業を通じてある幅域・・・上限平均値(素材系)が下限平均値(組立て型最終製品系)の2.5倍程度・・・に集中するとして、既報(6)で取り上げた、「企業規模〜研究開発要員倍率〜下限販売単価の相互関係に関するモデルのシミュレーション結果と実験結果との不一致」の問題を再検討し、この不一致は本論文で述べた取扱方法の採用により解消することを示した。
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1999 研究イノベーション学会
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