抄録
日本国籍の出願人の日本特許庁および各国への世界知的所有権機関等の特許出願データ,および日本国籍の出願人の米国特許データを用いて,米国国籍の出願人との比較を交えて分析を行い,日本企業のグローバル特許戦略の特徴を科学技術基本計画の策定前から第1期科学技術基本計画の期間,第2期科学技術基本計画の期間を通じてどのように変化したかを明らかにする。その結果,日本企業の特許出願は絶対数では伸びているものの,そのシェアでは日本を始め米独英仏の先進各国,そして世界でのシェアを下げていることを明らかにする。さらに,各国特許庁が受理する特許の割合が大きく変動して日米独英仏のシェアが縮小し,それ以外の国々のシェアが増大しているという構造変化に日本企業が追随していっていない状況を明らかにする。日本企業と異なり,米国企業は世界における特許出願の構造変化に追随して,先進国5ヵ国におけるシェアを上昇させると同時に受理国として急激にシェアを伸ばしている他の国々でもシェアを伸ばしている。米国企業が自国に出願したと同じ特許を各国に重複して出願し世界におけるシェアを急激に伸ばしている。