研究 技術 計画
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特集 人文・社会科学系研究が創造するイノベーション
人文社会科学系研究が創造するイノベーションにおいてURAが果たす役割と機能:4大学の事例より
島岡 未来子稲石 奈津子森本 行人三田 香織川人 よし恵丸山 浩平
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2023 年 38 巻 2 号 p. 155-169

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抄録

本稿は,国内の大学に勤務する人文社会科学系のURAを主とする共同執筆である。各人が取り組んだ,人社系研究にかかるイノベーションと考えられる具体的な事例を持ち寄り,その事例における「URAの役割・機能」を軸に記述した。導入として現在のわが国のイノベーション政策とURAの機能と役割を概観する。次に京都大学,筑波大学,大阪大学,早稲田大学の4大学における事例とURAの役割を述べる。最後に4事例とURAの役割と機能をまとめる。事例から,URAは,バウンダリー・スパナー,基準作り,統合的価値創造,といった言葉が示すとおり,単なる研究支援を超え,より積極的に人社系研究によるイノベーション創造に関与していることが分かった。そこで,事例で示されたURAの役割と機能を,意図的に変化,あるいはイノベーションを組織にもたらそうとする人である,「チェンジ・エージェント」の概念から整理する。本稿の事例では,人文社会科学系研究によるイノベーション創出活動において,URAは(1)カタリスト,(2)プロセス支援者,(3)資源連結者の3機能を担っていることが示唆された。

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2023 研究イノベーション学会
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