2024 年 39 巻 1 号 p. 26-34
我が国の研究力強化のために,大学の経営戦略に基づく研究設備・機器の戦略的な整備・運用・共用が求められている。このような中,研究設備の利用が大学の研究力にどのように貢献しているかを定量的に分析・評価する研究基盤IR(Institutional Research)の構築が重要であるが,いまだ発展途上であり,その機能強化と方法論の確立が必要である。本論文では,宮崎大学において開発した設備共通管理システムから得られた研究設備の学内外利用実績データを用い,学外から受託した依頼分析における研究分野,分析内容,地域性に関する分析と,学内研究者が研究設備を利用することで創出される論文の数や質に関する分析を行い,地方・地域大学である本学の研究基盤IRの一事例について述べる。