2025 年 39 巻 4 号 p. 400-409
今日,5Gの次の通信技術であるBeyond 5G(6G)の技術開発が始まっており,日本は,NTTグループが推進する IOWN 構想を中核とした光電融合技術とオール光ネットワークによる超高速,超低遅延,超低消費電力を実現した次世代通信技術基盤の開発と国際標準獲得のための動きを開始している。4G,5Gでは顧客のニーズ以上の高速性能であったり,あるいはその高速性能が実感できない状況が生じていたりしている状況で,明確に差異化された顧客価値を示すことが困難になっていた。しかしBeyond 5Gでは,喫緊の課題である環境問題に直結する超低消費電力を特徴とすることが,技術の標準化だけでなく,ビジネスの標準化の観点からも重要な競争優位の源泉になり得るのではないだろうか。本稿では,他の環境技術の事例なども踏まえて,光電融合半導体などのオール光ネットワーク技術が持つビジネス的なポテンシャルについて仮説的な議論を行う。