抄録
細胆管細胞癌CoCCは,超音波所見上,被膜がなくnotchを伴う分葉状の結節として描出される.造影超音波にて動脈相では分枝状血流にて造影が始まり,その後全体が淡く造影されるように観察される傾向があり,病変内を貫通する門脈枝がみられることも多い.超音波検査にて得られる所見がどのような病理像を反映したものであるか対比し検討する研究(超音波画像・病理対比)において,病変の形状や細胞密度,病変内の多彩性,線維化の多寡などは過去にも検討がなされているが,病変内の血管走行については従来の組織学的検索法のみでは詳細な対比が困難であった.今回我々は,連続切片作成と血管走行の仮想再構築を行うことで,造影超音波所見の根拠となり得る血管走行を同定・検討した.
CoCC成分が主体である1病変において連続切片作成を行い,病変外のグリソン鞘がほとんど破壊を受けないまま病変内に入り込む像,病変内に残存したグリソン鞘内の動脈性血管から分岐する細い動脈枝が腫瘍間質内に侵入していく様子を観察した.以上の病理所見は,CoCCの超音波所見として特徴的である動脈相での分枝状血管構造を説明し得るものと考えられ,CoCCを栄養する血管はグリソン鞘内に存在する既存の動脈に端を発するものであると推察された.CoCCの栄養機序は,肝細胞癌HCCにおけるunpaired arteryのようないわゆる腫瘍血管による栄養とは異なる可能性が示唆され,CoCCの造影所見における動脈相初期での分枝状血流はCoCCに特有の血管走行を観察している所見ではないかと考えられた.