超音波検査技術
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学術賞―研究
悪性リンパ腫肝浸潤の超音波所見の検討
奥田 安範大杉 増美大塚 康弘高石 修森 いづみ名和 由一郎前田 智治
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2018 年 43 巻 1 号 p. 22-33

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抄録

目的:悪性リンパ腫肝浸潤のBモード所見とドプラ所見における特徴的所見の有無について検討したので報告する.

対象と方法:当院で2011年1月から2015年12月に腹部超音波検査を施行し,生検もしくは肝切除標本の病理組織診で悪性リンパ腫と確定診断された11例(男性8例,女性3例,年齢中央値83歳)をretrospectiveに検討した.組織型の内訳は,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫8例,粘膜関連リンパ組織型節外性辺縁帯リンパ腫1例,メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患1例,Hodgkinリンパ腫1例であった.

結果と考察:腫瘤径30 mm(≧30 mm:6例,<30 mm:5例)を境に,Bモード所見およびドプラ所見の違いがみられた.最大径が30 mm以上の腫瘤は,内部エコーが不均一な低エコーで,腫瘤内部に線状高エコーや点状高エコーがみられた.また,カラードプラでは,腫瘤内部に正常血管の貫通像がみられた.一方,最大径が30 mm未満の腫瘤は,内部エコーが均一な低エコーで,腫瘤内部に脈管貫通像がみられなかった.悪性リンパ腫の組織型の違いによる超音波所見の違いはみられなかった.

結論:悪性リンパ腫肝浸潤の超音波所見は,腫瘤径30 mmを境に異なる可能性がある.Bモードで腫瘤径を加味して内部エコーを評価し,さらにカラードプラで脈管貫通像の有無を評価することで,悪性リンパ腫肝浸潤の超音波鑑別診断能が向上する可能性が示唆された.

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© 2018 一般社団法人日本超音波検査学会
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