超音波検査技術
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症例報告
ソナゾイド造影超音波により樹枝状拡張血管を確認し得た孤立性線維性腫瘍の1例
鈴木 冠史木山 智河野 正寛牧 ゆかり高石 瞳瀬下 明良
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キーワード: SFT, dilated vessels, B-mode Low MI, CEUS
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2018 年 43 巻 2 号 p. 164-169

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抄録

孤立性線維性腫瘍(solitary fibrous tumor:以下,SFTと略記)はまれな間葉系腫瘍で,多くは胸膜に発生する.近年では軟部組織をはじめとした全身の諸臓器からの発生が報告されている.症例は80代,男性,貧血を指摘され大腸内視鏡にて上行結腸に腫瘤を認め生検にてadenocarcinomaの診断となった.術前の胸部CTにて右肺上葉胸壁に平滑な66×47×38 mm大の腫瘤を認めた.肝転移検索のために行ったソナゾイド造影超音波検査(以下CEUSと略記)の際に,同腫瘍も同時に観察した.流入開始から20秒ほどかけて比較的ゆっくり濃染した.通常のCEUSでは濃染により内部の細かい血管構造は確認できずB-mode Low MI法にてMIを0.3程度に設定し観察,臓側から流入する3本の樹枝状拡張血管が確認された.悪性疾患鑑別のため超音波下針生検を行った.採取された検体は灰白色調で病理像は紡錘形細胞がpatternless pattern状に密に増生していた.異型や核分裂像は認めなかった.免疫染色にてCD34, STAT6ともに陽性でありSFTの診断となった.大腸癌術後の造影CTにて肺動脈から胸膜を経て腫瘤へ流入する血管像も確認され臓側胸膜由来SFTの診断となった.今回,我々は右肺臓側胸膜に発生したSFTにおいてCEUSにてSFTの組織学的特徴の一つとされる樹枝状拡張血管を確認し得た.これまで画像診断でSFTの微細な血管構造を捉えた報告はなく若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2018 一般社団法人日本超音波検査学会
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