超音波検査技術
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症例報告
小児脊髄超音波検査にて特徴的所見が得られた脊髄係留症候群,終糸囊胞,終糸脂肪腫の3例
岡村 隆徳藤川 あつ子畑田 千紘桜井 正児鈴木 健吾
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2018 年 43 巻 3 号 p. 265-273

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抄録

症例1, 3か月女児.臀部のしこりを指摘され,増大傾向を認めた.超音波検査では脊髄脂肪腫による脊髄係留状態を疑ったが,脊椎の形態異常の判断は困難であった.MRI検査,CT検査では潜在性二分脊椎も確認でき,脊髄係留解除術が施行された.症例2,日齢3女児.仙尾部に皮膚陥凹が確認され,超音波検査で終糸囊胞を疑う所見を認めた.MRI検査でも囊胞性病変を確認し,経過観察を続けている.症例3, 6か月男児.仙尾部に皮膚陥凹と異常毛髪を認めていたが,吸引分娩による硬膜下血腫の加療が優先されていた.6か月時に施行した超音波検査で終糸肥厚による脊髄係留が疑われ,MRI検査で終糸脂肪腫による脊髄係留状態と診断された.1歳2か月で係留解除術が施行され,経過観察を続けている.脊髄係留症候群は,脊髄円錐部が下方に牽引,固定されて症状が発現する症候群であり,脊髄(脊椎)癒合不全症に関連する様々な異常が合併し得ることから,画像検査では脊椎,脊髄,終糸,皮膚,腫瘤性病変等について総合的に評価を行う必要がある.新生児や乳児では超音波検査でも脊柱管内の描出が可能であるが,脊椎形態異常についての評価が困難であり,乳児期後期以降では脊柱管内の詳細な評価も困難であると考えられた.しかし鎮静することなく検査施行でき,脊髄,終糸,馬尾神経,皮膚,腫瘤性病変等の軟部組織を分解能よく評価できるため,脊髄係留症候群を含めた脊髄病変の初期評価として有効な検査方法であることが示唆された.

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© 2018 一般社団法人日本超音波検査学会
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