超音波検査技術
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若手研究奨励賞―研究
  • 平田 有紀奈, 西尾 進, 鳥居 裕太, 天野 里江, 山尾 雅美, 西條 良仁, 楠瀬 賢也, 山田 博胤, 佐田 政隆
    2018 年 43 巻 3 号 p. 231-238
    発行日: 2018/06/01
    公開日: 2018/07/11
    ジャーナル 認証あり

    目的:糖尿病患者は,冠動脈狭窄を有していても無症状な場合も多く,心電図や超音波検査で異常を指摘されなければ冠動脈精査に進まないことがある.我々は,超音波検査で計測した心外膜下脂肪(EAT)厚が冠動脈狭窄の有無と密接に関連していることを報告した.そこで本研究では,糖尿病患者のEAT厚が冠動脈狭窄の診断に有用か否かを検討することを目的とした.

    対象と方法:当院で心臓カテーテル検査(CAG)を施行した糖尿病患者のうち,EAT厚を計測した182例(平均年齢67±11歳,男性128例)を対象とした.EAT厚は前室間溝の位置で収縮末期に計測した.CAGで有意狭窄(>75%)を認めた108例を狭窄群,認めなかった74例を非狭窄群に分類した.

    結果と考察:非狭窄群29例(39%),狭窄群61例(56%)で胸部症状を認めた.狭窄群のEAT厚は,非狭窄群に比べ有意に大であった(8.3±2.8 vs. 5.7±2.1 mm, p<0.001).ROC解析では,EAT厚>7.0 mmをカットオフ値とすると感度67%,特異度78%で糖尿病患者の有意狭窄が診断できた.さらに,従来の冠危険因子に胸部症状の有無を加えてもArea under the carve(AUC)の増加は有意でなかったが,EAT厚を加えるとAUCは有意に増加した(AUC: 0.65 vs. 0.82, p<0.001).このことから,EAT厚は従来の冠危険因子や胸部症状に加えて冠動脈有意狭窄予測における付加的価値があることが示された.

    結語:冠動脈狭窄を有する糖尿病患者のEAT厚は非狭窄患者に比べて有意に厚い.

研究
  • 佐藤 洋, 江藤 博昭, 辻川 恵美, 岡 彩子
    2018 年 43 巻 3 号 p. 239-248
    発行日: 2018/06/01
    公開日: 2018/07/11
    ジャーナル 認証あり

    目的:下肢深部静脈血栓症の血栓分布状態について超音波検査を用いて評価すること.

    対象と方法:下肢静脈超音波検査を実施した連続1,714例(実患者数1,150例)の中で,下肢DVTと診断した183例とした.性別,年齢分布,検査依頼診療科,下肢DVT発生分布,下腿型DVTの存在部位,伏在静脈への血栓波及,表在静脈瘤の合併,下大静脈血栓例の超音波学的特徴について後向き研究を行った.

    結果と考察:男性53例,女性130例で,男性は71–80歳代が最も多く,女性では81–90歳代が最も多かった.DVT部位は,腸骨型<大腿型<下腿型で左右差を認めなかった.下腿型DVTの発生分布:下腿型DVTは114例(62.3%)下腿3分枝よりも筋肉枝でのDVT発生頻度が有意に高かった.下腿筋肉枝DVTは,100例(54.6%)に認め,なかでもヒラメ静脈中央枝病変が最も多く,右48例(26.2%),左38例(20.8%)であった.次いで内側枝病変が右17例(9.3%),左11例(6.0%)であった.周術期症例において致死的肺血栓塞栓症を発症した例はなかった.

    結論:超音波検査を用いて下肢DVTの血栓分布状況を調査したところ,DVT発生頻度は腸骨型<大腿型<下腿型であった.病変部位については下腿に限局する例が多く,なかでもヒラメ静脈中央枝の発生頻度が高率であった.

  • 丸山 勝, 森 貴子, 三枝 義信, 小田 福美, 中林 智保子, 久次米 公誠, 橋本 直明, 野曽原 由香, 鈴木 浩之, 下村 義弘
    2018 年 43 巻 3 号 p. 249-258
    発行日: 2018/06/01
    公開日: 2018/07/11
    ジャーナル 認証あり

    はじめに:超音波検査時のベッドの高さが,検者の身体負担と探触子の操作性に与える影響を検討した.

    対象と方法:対象は,日本超音波医学会認定の超音波検査士資格(消化器領域)を取得している8名とした.方法は,ベッドが座面と同じ高さを基準とし,±5 cm, ±10 cmの5段階の高さについて評価した.人体模型に対して指定したプロトコル(①:右肋骨弓下走査~肋間走査,②:右側腹部走査,③:左側腹部走査)で走査を行い,その間の筋電図,身体角,探触子の操作性について測定した.測定筋は右尺側手根屈筋,右橈側手根伸筋,右僧帽筋,右菱形筋とした.身体角は,体幹角についてビデオ画像と加速度計で,右肩拳上角についてはビデオ画像のみで測定した.探触子の操作性については,右手背に加速度計を装着し計測した.

    結果:①の走査では右尺側手根屈筋(相対高p: 0.025,座高比p=0.029,上肢長比p=0.040,座高-上肢長比p=0.007)と右僧帽筋(相対高p=0.017,座高比p=0.023,上肢長比p=0.021,座高-上肢長比p=0.036)についてすべての評価指標でベッドが低い方が有意に筋負担は小さく,右菱形筋については座高-上肢長比(p=0.016)において,ベッド高が座面高に近づくにつれ減少した.肋間走査(プロトコル終了時)ではベッドが低くなると,右肩拳上角は小さくなる傾向であった(相対高p=0.001,座高比p=0.001,上肢長比p=0.002,座高-上肢長比p=0.001).②の走査では右菱形筋について,ベッド高がやや高い方が筋負担は有意に小さかった(座高-上肢長比p=0.003).体幹角は,ベッドが低いとベッド側へ体幹が傾く傾向があった(ビデオ開始時 相対高p=0.009,座高比p=0.007,上肢長比p=0.005,座高-上肢長比p=0.032)(加速度開始時 相対高p=0.011,座高比p=0.017,上肢長比p=0.010,座高-上肢長比p=0.042)(ビデオ終了時 相対高p=0.012,座高比p=0.009,上肢長比p=0.006,座高-上肢長比p=0.048)(加速度 終了時相対高p=0.011,座高比p=0.016,上肢長比p=0.014,座高-上肢長比p=0.032).③の走査ではベッドがやや低い方が右僧帽筋(相対高p<0.001,座高比p<0.001,上肢長比p<0.001,座高-上肢長比p<0.001)と右菱形筋(相対高p=0.022,座高比p=0.022,上肢長比p=0.043,座高-上肢長比p<0.001)で有意に負担が小さかった.一方でベッドが高い方が体幹の傾きは小さいものの(ビデオ開始時 すべての評価指標でp<0.001)(加速度開始時 座高-上肢長比p=0.002他の評価指標はp<0.001)(ビデオ終了時 相対高p=0.002,座高比p=0.002,上肢長比p=0.001,座高-上肢長比p=0.007)(加速度終了時すべての評価指標でp<0.001),鉛直にはならなかった.右肩拳上角にはベッド高の影響がみられなかった.探触子の操作性については,いずれのプロトコルでもベッド高の影響がみられなかった.

    結語:腹部超音波検査時にベッド高を調整することで,検者の身体負担が軽減することが,また,検者は走査中,身体負担よりも探触子の操作性を優先していることが示された.

症例報告
  • 宮元 祥平, 谷内 亮水, 青地 千亜紀, 上田 彩未, 黒川 夏美, 清遠 由美, 福岡 陽子, 古川 敦子, 尾原 義和, 山本 克人
    2018 年 43 巻 3 号 p. 259-264
    発行日: 2018/06/01
    公開日: 2018/07/11
    ジャーナル 認証あり

    症例は80歳代,女性.近医にて心臓内に腫瘤性病変を認め,当院循環器内科に紹介となった.経胸壁心エコー図検査では右房内に15×7 mm大の可動性に富む腫瘤を認め,辺縁は不整であった.経食道心エコー図検査では,腫瘤は有茎性を認め,付着部は細く,イソギンチャク様に観察された.三次元経食道心エコー図検査では腫瘤は三尖弁中隔尖上方の心房中隔の右房側に付着していた.後日,腫瘍摘出術が施行され,腫瘤の茎は心エコー図検査の所見通りの位置に付着していた.病理組織学的検査から乳頭状線維弾性腫と診断された.

    原発性心臓腫瘍の発生頻度は0.001~0.28%ときわめてまれであり,乳頭状線維弾性腫は心臓腫瘍全体の約10%を占める.好発部位は弁膜であり,右房からの発生は2%とまれである.心臓腫瘍の診断には心エコー図検査が有用であり,特に経食道心エコー図検査は,腫瘍の付着部位や大きさ,形状などの詳細な情報が得られる.今回,粘液腫との鑑別に苦慮したが,乳頭状線維弾性腫を強く疑った.

    近年,心エコー図検査でも3D画像での描出が可能となり,任意的な立体的構築画像が得られるために,心臓や弁の構造,腫瘍の評価に有用である.本症例でも三次元経食道心エコー図検査を用いることで,乳頭状線維弾性腫の付着部位をより詳細に観察することができた.

  • 岡村 隆徳, 藤川 あつ子, 畑田 千紘, 桜井 正児, 鈴木 健吾
    2018 年 43 巻 3 号 p. 265-273
    発行日: 2018/06/01
    公開日: 2018/07/11
    ジャーナル 認証あり

    症例1, 3か月女児.臀部のしこりを指摘され,増大傾向を認めた.超音波検査では脊髄脂肪腫による脊髄係留状態を疑ったが,脊椎の形態異常の判断は困難であった.MRI検査,CT検査では潜在性二分脊椎も確認でき,脊髄係留解除術が施行された.症例2,日齢3女児.仙尾部に皮膚陥凹が確認され,超音波検査で終糸囊胞を疑う所見を認めた.MRI検査でも囊胞性病変を確認し,経過観察を続けている.症例3, 6か月男児.仙尾部に皮膚陥凹と異常毛髪を認めていたが,吸引分娩による硬膜下血腫の加療が優先されていた.6か月時に施行した超音波検査で終糸肥厚による脊髄係留が疑われ,MRI検査で終糸脂肪腫による脊髄係留状態と診断された.1歳2か月で係留解除術が施行され,経過観察を続けている.脊髄係留症候群は,脊髄円錐部が下方に牽引,固定されて症状が発現する症候群であり,脊髄(脊椎)癒合不全症に関連する様々な異常が合併し得ることから,画像検査では脊椎,脊髄,終糸,皮膚,腫瘤性病変等について総合的に評価を行う必要がある.新生児や乳児では超音波検査でも脊柱管内の描出が可能であるが,脊椎形態異常についての評価が困難であり,乳児期後期以降では脊柱管内の詳細な評価も困難であると考えられた.しかし鎮静することなく検査施行でき,脊髄,終糸,馬尾神経,皮膚,腫瘤性病変等の軟部組織を分解能よく評価できるため,脊髄係留症候群を含めた脊髄病変の初期評価として有効な検査方法であることが示唆された.

  • 古島 早苗, 尾長谷 喜久子, 恒任 章, 井手 愛子, 木村 由美子, 賀来 敬仁, 前村 浩二, 江石 清行, 栁原 克紀
    2018 年 43 巻 3 号 p. 274-280
    発行日: 2018/06/01
    公開日: 2018/07/11
    ジャーナル 認証あり

    症例1:40代女性,4年前に他院にて二尖弁による大動脈弁狭窄症と診断され,大動脈弁置換術(CarboMedics 21 mm)が施行された.胸部違和感を自覚したため近医受診したところ,収縮期雑音を指摘され,精査目的に当院紹介となった.心エコー図所見:大動脈弁最大通過血流速度5.0 m/s,平均圧較差(MPG)58 mmHg,有効弁口面積(EOA)0.77 cm2,有効弁口面積係数(indexed EOA)0.45 cm2/m2,Doppler velocity index (DVI) 0.28,acceleration time (AT) 130 msec,弁周囲逆流(−),経胸壁・経食道エコーともに血栓弁やパンヌスを疑うような塊状エコー等は指摘できなかった.左室壁肥厚は認めず収縮良好であった.PT-INR: 2.22.X線透視所見:両弁葉ともに開放制限は認めなかった.

    症例2:60代女性,11年前に大動脈弁(ATS 18 mm)および僧帽弁(ATS 27 mm)置換術が施行され,経胸壁心エコー図にて経過観察を行っていた.心エコー図所見:大動脈弁最大通過血流速度3.6 m/s,MPG 36 mmHg, EOA 0.59 cm2, indexed EOA 0.42 cm2/m2, DVI 0.21, AT 122 msec,弁周囲逆流(−),経胸壁・経食道エコーともに血栓弁やパンヌスを疑うような塊状エコー等は指摘できなかった.全周性に軽度左室壁肥厚を認め,左室収縮は良好であった.PT-INR: 2.78.X線透視所見:両弁葉ともに開放の低下を認めた.

    両症例ともにドプラ所見から弁機能不全と診断し弁置換術が施行された.術中所見では両症例ともに弁下に輪状のパンヌス形成が認められた.

    まとめ:心エコー図では血栓弁やパンヌスを疑うような塊状エコーを描出できなかったが,ドプラ所見から大動脈弁位人工弁機能不全を診断し得た2症例を経験した.最大通過血流速度や平均圧較差,またAT, DVI等も考慮し,これらの指標の急激な変化や経年的な増悪があれば,人工弁機能不全を疑うことが重要であると考えられた.

  • 表原 里実, 西田 睦, 岩井 孝仁, 菊池 穏香, 倉島 庸, 木内 隆之, 外丸 詩野, 澁谷 斉, 早瀬 英子, 清水 力
    2018 年 43 巻 3 号 p. 281-286
    発行日: 2018/06/01
    公開日: 2018/07/11
    ジャーナル 認証あり

    症例は70歳代男性.201X年7月,筋萎縮性側索硬化症(ALS)に伴う誤嚥症状あり,胃瘻造設目的で上部消化管内視鏡検査を施行した際に進行胃癌を指摘.腹腔鏡下胃全摘術を施行.その後ALSが進行し,翌年3月,呼吸困難で当院に救急搬送された.

    腹部超音波検査(US)では,膵頭部足側に長径25 mmの境界やや不明瞭な低エコー病変を認めた.病変は膵内胆管へ連続し,同部で内腔は狭窄,中枢側の胆管は著明に拡張していた.膵頭部癌による閉塞性黄疸を疑った.造影CTでは下部胆管狭窄と壁肥厚あり,中枢側胆管はびまん性に拡張.膵内に明らかな腫瘤は指摘されず,胆管癌を疑った.

    ALSの予後を考慮し精査は行われず,永眠された.

    病理解剖による肉眼所見で膵頭部周囲に白色調病変を認めた.組織所見では,膵頭後部のリンパ節を置換するように異型細胞が腺管構造あるいは大小の胞巣を形成し増殖しており,既往の胃癌病変と同様の組織像であった.膵臓,膵内胆管にも浸潤する病変を認め,リンパ管侵襲像を伴っていた.胃癌再発・転移と診断された.

    膵頭後部の低エコー像と胆管への浸潤像は病理組織所見と良く合致しており,USはその所見を捉えることが可能であった.US所見と併せ,既往の胃癌の組織型や進展形式,進行度などを確認することにより胃癌再発を鑑別に挙げることができた可能性がある.

臨床講座
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特別企画
  • 西田 睦, 中島 収, 橋本 悦子, 坂元 亨宇, 江口 有一郎, 熊田 卓, 工藤 悠輔, 飯島 尋子, 市原 真
    2018 年 43 巻 3 号 p. 305-309
    発行日: 2018/06/01
    公開日: 2018/07/11
    ジャーナル 認証あり

    In this session, clinical laboratory data, conventional US and US elastography for diagnosing NAFLD/NASH were discussed after having lectures of basic concept and pathological diagnosis of NAFLD/NASH. Following descriptions of below are highlights of this session.

    NAFLD has been categorized as one of metabolic syndrome of the liver, which diagnosed as fatty liver by imaging modalities and hepatic biopsy except alcoholic fatty liver diseases. NAFLD is classified into NAFL and NASH. NASH progresses to liver cirrhosis after 20 years, and developing HCC after 5 to 10 years. NAFLD/NASH will be increasing rapidly as underlying condition of LC and HCC in the near future, so that taking some measures are matters of great urgency. Pathologically, NASH is defined by more than 5% fat deposition, infiltrating inflammation cells into lobules hepatitis and ballooning degeneration. Especially ballooning degeneration, fibrosis and Mallory-Denk body are important findings relating to hepatocellular injury and progressive disease.

    NAFLD should be enclosed by performing US once for metabolic syndrome patients, further diagnosis of NASH can be made by combination of more than two markers such as NAFLD fibrosis score, NAFIC score, FIB-4 index and platelet counts. The diagnostic criteria proposed by Japanese Society of Gastroenterology of NAFLD are bright liver, hepato-renal contrast, deep attenuation and vascular blurring. Good measurement precision and reproducibility of US elastography were presented. Attenuation parameter which can presume amount of fat deposition in the liver, measured by FibroScan® and general use US system are well correlated to Hounsfield Unit of CT and Alanine transaminase. High elasticity (12 kPa<), low CAP level (260 dB/m>) and complication of DM are possible high risk group of HCC. Fatty liver findings of B mode US are well correlated to pathological diagnosis. US elasticity measured in NBNC patients tended to estrange from pathological diagnosis (less than 10%). Fibrosis can be more accurately diagnosed by elastography than B mode US.

    In closing this session, recognizing NAFLD/NASH are national disease is important, performing US to pick up fatty liver in metabolic syndrome patients, further estimation of laboratory data and US elastography can make enclosing liver fibrosis. Clinical laboratory team and clinicians should cooperated closely in enclosing high risk patients in daily practice of NAFLD/NASH.

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