超音波検査技術
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症例報告
付着部位の評価に三次元経食道心エコー図検査が有用であった乳頭状線維弾性腫の1例
宮元 祥平谷内 亮水青地 千亜紀上田 彩未黒川 夏美清遠 由美福岡 陽子古川 敦子尾原 義和山本 克人
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2018 年 43 巻 3 号 p. 259-264

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抄録

症例は80歳代,女性.近医にて心臓内に腫瘤性病変を認め,当院循環器内科に紹介となった.経胸壁心エコー図検査では右房内に15×7 mm大の可動性に富む腫瘤を認め,辺縁は不整であった.経食道心エコー図検査では,腫瘤は有茎性を認め,付着部は細く,イソギンチャク様に観察された.三次元経食道心エコー図検査では腫瘤は三尖弁中隔尖上方の心房中隔の右房側に付着していた.後日,腫瘍摘出術が施行され,腫瘤の茎は心エコー図検査の所見通りの位置に付着していた.病理組織学的検査から乳頭状線維弾性腫と診断された.

原発性心臓腫瘍の発生頻度は0.001~0.28%ときわめてまれであり,乳頭状線維弾性腫は心臓腫瘍全体の約10%を占める.好発部位は弁膜であり,右房からの発生は2%とまれである.心臓腫瘍の診断には心エコー図検査が有用であり,特に経食道心エコー図検査は,腫瘍の付着部位や大きさ,形状などの詳細な情報が得られる.今回,粘液腫との鑑別に苦慮したが,乳頭状線維弾性腫を強く疑った.

近年,心エコー図検査でも3D画像での描出が可能となり,任意的な立体的構築画像が得られるために,心臓や弁の構造,腫瘍の評価に有用である.本症例でも三次元経食道心エコー図検査を用いることで,乳頭状線維弾性腫の付着部位をより詳細に観察することができた.

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© 2018 一般社団法人日本超音波検査学会
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