2020 年 45 巻 4 号 p. 394-404
目的:乳腺線維腫症の超音波検査所見を検討する.
対象と方法:対象は,2000年1月~2018年12月に当院で乳腺線維腫症の病理学的診断が得られた8症例17病変.これらの超音波所見を腫瘤では,形状,境界,境界部高エコー像,内部エコーレベル,内部エコー均質性,後方エコー,構築の乱れ,点状高エコー,血流について評価した.非腫瘤性病変では,乳管の異常,乳腺内低エコー域,構築の乱れ,多発小囊胞,点状高エコー,後方エコー,血流について評価した.
結果と考察:全17病変中,9病変が腫瘤,8病変が非腫瘤性病変であった.腫瘤においては,形状は不整形,境界は不明瞭,内部不均質低エコーを呈し,後方エコーは減弱し,構築の乱れを認めた.境界部高エコー像は1病変のみで認められた.非腫瘤性病変では,8病変すべて境界不明瞭な低エコー域を呈し,構築の乱れを認め,後方エコーも減弱していた.構築の乱れは,17病変中15病変で,太い膠原線維束が周囲の組織を引き込みというよりむしろ押しやっているような組織像を反映し,束がねじれ,渦を巻くような特徴的な超音波所見を呈していた.ドプラ法では,施行された16病変のうち13病変に血流信号を認めたが,豊富な血流ではなく一部に認めるものが多かった.浸潤性乳管癌(硬性型)や浸潤性小葉癌と類似した所見であったが,乳腺線維腫症では境界部高エコー像がみられない病変が多く,病変内に背景乳腺から連続する高エコー域がみられ,ねじれた渦を巻くような構築の乱れが鑑別点になりうると考えられた.若年者に多いことから年齢も鑑別の一助となり,また4症例が異時両側発生,2症例は同時両側に発生しており,患側は勿論,対側乳腺全域の慎重な検査が重要である.
結論:乳腺線維腫症の超音波所見は,後方エコーの減弱と,ねじれた渦を巻く構築の乱れ,病変内に背景乳腺から連続する高エコー域を伴った境界不明瞭な低エコー腫瘤,あるいは低エコー域を呈し,境界部高エコー像がみられないことが特徴と考えられた.