超音波検査技術
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症例報告
心房中隔脂肪性肥大が疑われた2症例
谷内 亮水石田 真依上田 彩未宮元 祥平平井 裕加青地 千亜紀清遠 由美
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2021 年 46 巻 3 号 p. 200-207

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抄録

我々は心エコー図検査にて心房中隔脂肪性肥大(LHAS)が疑われた2例を経験したので報告する.症例1は70代の男性で,胃癌の術前精査のためにCTが撮られ右房内に34 mm大の脂肪濃度を呈する腫瘤を認めた.経胸壁心エコー図検査(TTE)では,心窩部アプローチにて心房中隔の頭側に45×48 mm大の高エコー腫瘤を認めた.卵円窩周囲の肥厚は認めなかった.経食道心エコー図検査(TEE)では,心房中隔に40~50 mm大の高エコー腫瘤を認めた.症例2は50代の女性で,心機能評価目的にて心エコー図検査が依頼された.TTEでは心窩部アプローチにて心房中隔の心室側の高エコー腫瘤を認めた.心臓CT画像では心房中隔はほぼ全体が境界不明瞭な脂肪濃度域に置換され,肥厚していたが,卵円窩部分は保たれていた.LHASの心エコー図検査による診断基準は,心房中隔の肥厚が15 mm以上で,卵円窩を通過する断面で特徴的なダンベル様の形態を有し,肥厚の原因を説明できる他の疾患を認めないこととされている.TTEでは心窩部アプローチが超音波ビームと心房中隔が直角となるために明瞭に描出され,有用と考えられる.

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© 2021 一般社団法人日本超音波検査学会
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