2021 年 46 巻 4 号 p. 317-329
目的:腸閉塞機転でパルスドプラ法を使用し得られたresistive index(RI)によって虚血進展予測と層別が可能かを検討すること.
対象と方法:対象は腹痛精査目的のUSで腸閉塞機転を同定しえた64例である.保存的治療群と手術群でRIを比較し,receiver operating characteristics curve(ROC)で手術・腸切除要否のカットオフ値を算出した.さらに腸切除要否について多変量解析で血液検査データ,腹水,発症からの時間区分各因子のオッズ比を算出した.
結果と考察:RIは保存的治療群に比し手術群で有意に高値で(0.73±0.06 vs.0.89±0.09, p<0.01),腸温存群に比し腸切除群で有意に高値であった(0.80±0.10 vs.0.94±0.06, p<0.01).RIの手術要否カットオフ値は0.79(感度87.5%,特異度91.7%),腸切除要否カットオフ値は0.85(感度100%,特異度72.5%)であった.多変量解析では発症からの時間区分とRI高値が腸切除に関連した.パルスドプラ法で拍動血流を認めてもRI高値の場合には静脈の絞扼,うっ血に伴う末梢動脈灌流の低下を示唆し静脈絞扼時期を示すものと思われ,この段階の手術で腸管を温存できる可能性があった.
結語:腸閉塞例では閉塞機転局所のRI計測により静脈絞扼状態の評価が可能となり,RIが0.85を超える場合には絞扼性の可能性が高く腸温存のために緊急手術の検討が望まれる.