2024 年 49 巻 5 号 p. 469-481
目的:心エコー図検査における検査者間差の管理は重要だが,その管理手方法は確立されていない.近年,coverage probabilityと散布図を用いた検査者間差の管理手法が報告されている.今回,これらを用いた検査者間差管理方法を構築することを目的とした.
対象と方法:対象は心エコー業務に従事する臨床検査技師6名で,うち1名が健常被験者5名から心尖部四腔像・二腔像を含む動画を撮像した.技師6名がそれぞれブラインドで左室容積計測・左室駆出率算出を行い,項目ごとにcoverage probabilityの算出・CPカーブおよび散布図を作成した.左室容積の検査者間差30 mL以内,左室駆出率の検査者間差10%以内のcoverage probability 80%以上を許容目標とした.
結果と考察:いずれの被験者においても許容目標は達成したが一部の被験者でばらつきが大きく,その要因を検討し再計測したところばらつきは有意に改善し,CPカーブも改善傾向を示した.Coverage probabilityは任意に設定した許容範囲に対する達成度の指標となり,CPカーブと散布図の併用でばらつきを管理できる有用な手法である.
結語:Coverage probabilityと散布図を用いた検査者間差管理方法を構築した.本法は検査者全体および個人の計測値のばらつきを簡便かつ視覚的に評価できる有用な方法であると考えられる.