2024 年 49 巻 6 号 p. 572-578
はじめに:大網梗塞は,大網の動静脈の血栓,捻転,外傷などによる循環障害が起因となる大網の壊死と定義されるまれな疾患である.今回我々は,超音波検査が診断の契機となった特発性分節性大網梗塞の2例を経験したので報告する.
症例1:10代男性.右下腹部痛を主訴に受診.WBC: 11,100/µL, CRP: 6.51 mg/dLで炎症反応の上昇を認めた.腹部単純CTでは,急性虫垂炎の穿孔が疑われた.翌日施行した腹部超音波検査で,腹壁直下の右側横行結腸の腹側に接して約110×35 mmの高エコー腫瘤像を認めた.接する横行結腸壁に肥厚は認めず,憩室も指摘できないことから大網梗塞を疑った.後日施行した腹部造影CTでは,胃結腸間膜から大網の右側寄りに限局性の脂肪織混濁を認め,大網梗塞と診断された.
症例2:20代男性.右側腹部痛を主訴に受診.CRP: 2.84 mg/dLと軽度の上昇を認めた.腹部超音波検査で,右側腹部の圧痛部に結腸肝弯曲部内側に接する腹壁直下に約80×30 mmの変形性に乏しい高エコー腫瘤像を認め,大網梗塞を疑った.その後,施行された腹部造影CTで結腸肝弯曲部と小腸の間隙に脂肪織混濁を認め,大網梗塞と診断された.
まとめ:腹痛精査目的の超音波検査において,圧痛部に一致する腹壁直下に,圧迫による変形性に乏しい高エコー腫瘤像を認めた場合,大網梗塞を考慮して走査・観察する必要があると考えられた.