抄録
【背景】ストーマ周囲皮膚潰瘍は難治性であることが多い。今回、回腸導管ストーマ周囲皮膚潰瘍が、尿管ステント留置による尿分離と陰圧閉鎖療法の併用で治癒した症例を経験したので報告する。
【症例】症例は55歳、女性。筋層浸潤性膀胱癌の診断で術前化学療法後、膀胱全摘除術・回腸導管造設術を施行した。術後にストーマ周囲皮膚潰瘍を発症したため、尿管ステント留置による尿分離と陰圧閉鎖療法を行って良好な治療経過を得た。
【考察】術前化学療法による低栄養状態、術後化学療法で投与した抗がん剤の尿中排泄による細胞障害のために潰瘍が発症・増悪したと考えられ、尿の付着を防ぐ本治療が有用だったと推察する。今後、膀胱全摘除術症例は増加すると思われ、化学療法に関連して発生するストーマ周囲皮膚潰瘍に対する治療法の蓄積が必要である。
【結論】尿管ステント留置による尿分離と陰圧閉鎖療法は、回腸導管ストーマ周囲皮膚潰瘍に有用と考えられる。