主催: 日本デザイン学会
本研究はデザイン発想支援方法の一つとして否定表現により提案された、仮説的対極化の手法から、新規的なコンセプトを生成し、製品化へ展開する際に有効な支援方法の可能性を考察したものである。前回は理論的根拠の考察を携帯電話の例で述べた。本発表ではそれとは対照的に単純な機能で構成されるペーパースタンドを事例にして、対極化の思考方法を考察し、これら対照的な2つの製品タイプを、事例を通して考察することで、その方法論の差異を検証した。ペーパースタンドにおいては、学生のアンケートを軸にノーマティブな関係を推測し対極化した。対極化された発想から言語的概念表現から形態的概念表現への展開を試みた。形態的概念表現ではアイデアのバリエーションが主体となり、技術的側面から形態への発展に制約を含めた。それゆえにバリエーションから実体の形態表現への収束は、携帯電話の事例と比べ短い過程であった。また、作り手が対極化により提案した実体からユーザーがさらに使い方を発展させる方向があることが分かり、そのユーザーによる機能の実現による充足を実際に一度つくった製品に、さらに発展させた用途として発展型の製品の提案を試みた。