抄録
今日、電子メディアとネットワークの普及により、自分たちの体験を記録し容易に発信できるようになってきた。たとえば、デジタルカメラや携帯電話、それらに実装された動画像記録機能、あるいは街に置かれた「プリクラ」などが、人々の日常表現としての記録を可能にしている。しかし、これら表現の普及の前には、それら機器やソフトウエア操作の複雑さや、大量画像の管理方法などにさまざまな問題が残されている。また、表現のためのリテラシーも不十分であり、それら表現コンテンツも基本的に個人や仲間の閲覧から外に広がることは少ない。さらに集積した表現を「地域社会の知」とすべく表現群に相互関係を付与することや、多様な表現を鑑賞し新たな表現としてそれらを再構成する可能性も求められている。本稿では、これら課題への解探索の試みとして行った、北海道十勝に開館する「とかち田園空間博物館」情報システムのデザインを紹介する。そこから、人々と社会が利活用する情報システムのデザイン開発のために必要となる枠組み、「技術システム」と「活動システム」という2種類のデザイン問題を扱う枠組みについて考察する。