近年多発している異常気象による風水害や、火山、地震などの自然災害に備えて、防災マップが注目されいる。神奈川県藤沢市の辻堂地域においても、平成16年度に地域住民団体と湘南工科大学土屋研究室が協働して「辻堂防災マップ」を製作し、その調査プロセスやマップ製作手法について、平成17年度のデザイン学会春季大会にて報告を行った。この平成16年度版の防災マップ(以下、旧防災マップとする)はA1サイズの大形のもので、町内会や自治会の掲示板等に掲示して、地域の防災意識の啓蒙や防災情報の提供を目的として作られた。しかし、その掲示方法や地域全体の掲示枚数が少ないこと、利用方法が曖昧であった等の理由により、地域住民に十分に周知することができなかった。
このような反省から、平成17年度は、辻堂地域の住宅各戸、約1万5千世帯に配布する小形の防災マップ(以下、新防災マップとする)のデザイン研究を地域住民団体と継続して進め、平成18年3月に配布した。本報告では、利用者の視点から新防災マップにどのような情報掲載の創意工夫がなされたのかについて、その製作プロセスに沿って述べる。