抄録
本プロジェクトは、東北の地場産業との共同デザイン開発の可能性を探るために青森県工業総合研究センターを訪れた際、津軽金山焼の活動を知ったことに端を発する。これに前後して、フィンランドで高級レストランを経営するPalace Ravintolat社が、首都ヘルシンキに同国初の本格的“モダン・ジャパニーズ”レストランの開業を計画中で、そこで用いる食器の一部にオリジナルデザインの陶器の導入を検討しているという情報を得た。そこで、金山焼とのデザイン共同開発を提案するに当たり、このレストランを第一のターゲットと位置づけ、そこからのイメージ戦略的、機能的要求を盛り込みながら商品デザインを展開していこうと考えた。これは、商品自体のデザインを洗練する手段としての他に、津軽金山焼の新たなブランドイメージの確立を念頭に置いての提案でもある。この新しい試みにより、地域産業とデザインの関係の新しいあり方を提示し、デザインの有効性、伝統技法の今日的意義、国際市場展開の可能性、といったことを社会に向けてアピールする機会にしたい。