抄録
地方部道路を対象として,時間軸に沿って変化する道路内部景観(道路を走行する車両からの眺め)の快適性を評価する尺度を,先行研究において構築した。この尺度をCGアニメーションを用いたモデルケースに適用し,その結果と主観評価との比較を行ったところ,景観の変化が少ない区間において,主観評価が低下するという特徴的な傾向が現れた。
この現象を「飽き」の影響と考え,それを緩和する手立てとして路傍植栽の効用に関する主観評価実験を行った。実験の結果,植栽の種類および配植の間隔の違いが顕著な差をもたらした。そして,「飽き」を緩和するためには,両者の組み合わせに配慮してやや強い刺激を与えること(例えば,高木のミックス型を間隔を開けてランダムに配植する)が効果的であることがわかった。
以上のことから,道路景観においても認知心理学における「馴化・脱馴化」現象が関与していることが明らかになった。さらに,モデルケースでの検証実験により,「緩やかなランダム性による刺激」が単調なシークエンス景観を改善することに有効であることを確認した。