抄録
高齢化が進む現在、これから多くの割合を占める新しい高齢者の生活を見直し、生活環境を整備していくことは活力ある高齢社会の構築、高齢者の自立、介護の予防のためにも必要不可欠であり、今後の社会を築く上で非常に重要な課題になると考えられる。 本研究ではそれに対する一つの策としてデザインの向上による生活道具、環境の改善の提案を行なう。自立した一人暮らしの高齢者を対象に生活実態観察調査を行ない、これを通して現代の高齢者の生活をより深く探り、高齢者にとって生活しやすい場というものを提案する。 また本研究では生活の基本となる「食」に焦点をあて、予備調査の結果導きだされた食空間がすなわち高齢者の生活空間の希釈図になっているということに注目し4つの課題を軸に研究をすすめた。1行為と座と卓の関係の課題2コミュニケ_---_ションに関する課題 3多様な生活用品のあり方の課題 4高齢者にとって使い心地の良いデザインまた、高齢者にとって使い心地の良いかたちと素材を求めた結果天然素材で軽く、丈夫なラタン(籐)に着目し、テーブル、イス、スツール小テーブルの4つの家具の製作を行ない、最終的に作品についての検証、評価までを行った。