日本デザイン学会研究発表大会概要集
日本デザイン学会 第53回研究発表大会
セッションID: D12
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近世初期における小袖意匠
武家服飾との関連について
*末久 真理子
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抄録

本研究では、武家服飾が新しい装飾美の追求へと変化する背景に登場してきた胴服や陣羽織など現存する遺品を対象として、まずその意匠形式の分類を行なう。そして、今回も遺品を補完する意味において重要な資料となる近世初期風俗画を用い、併せて当該期の制作と考えられている小袖遺品との関連を考察することにより、慶長期から寛文期に至るまでの間の小袖意匠の特徴やその系譜の解明、そして武家服飾との連繋について検討することを目的とする。その結果、以下のような結論を得ることが出来た。武家服飾における造形的特徴は、1)大柄単独モチーフ文様形式、2)地文様と上文様における二重構成形式、3)肩裾形式における胴部単独モチーフ文様形式、4)横段・斜縞における連続構成形式、5)中柄モチーフ文様散点形式、6)全体総柄形式、7)無地形式・その他、と大きく七つに類型化することができた。近世初期の小袖意匠に対して武家服飾の新しい形式が何らかの形で影響を与えていたことは、両者における意匠形式の比較により明確になったと結論付けられよう。

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© 2006 日本デザイン学会
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