抄録
感性品質は,以下の理由により顧客の要求の抽出や客観的な記述が困難であるため,製品設計への展開が難しい.すなわち,感性品質に対する要求のイメージを外在科することが困難な感性は暗黙性,感性が人によって異なる多様性,そして,顧客自身も気づいていない感性が潜在性の三点である.このうち,本研究では,未踏の課題である感性の潜在性に着目する.これまでに,筆者らは,単純な意匠形状を対象として,潜在感性を喚起させ,それに基づく要求を外在化させる方法を基礎的な検討してきている.その方法は,複数の顧客間で,任意の感性に対する形状イメージと,その視点を相互に交換・共有させるアプローチである.すなわち,他者の異なる視点によって,対象や感性に対する新しいとらえ方を獲得させる方法である.ところが,共有する視点や感性イメージ(形状)が膨大になると,潜在感性の喚起に有効な少数の視点や感性イメージを抽出する必要性が生じる.そこで,本報では,どのような視点や感性イメージ(形状)が,他者の潜在感性を喚起させるために受け入れられるか,について被験者による実験から検討する.