ノイラートによって開拓された図像統計の手法「アイソタイプ」は、1930年代にアメリカとヨーロッパで大きな影響を及ぼし、類似した試みが数多く登場した。そのうち、世界でもっとも活発な展開が見られたのはアメリカである。この報告では、こうした動きを「アイソタイプ運動」と総称し、1930年代のアメリカにおけるその動向を概観するとともに、普及の要因と特徴を探る。 まず、ルドルフ・モドレイの著作『How to Use Pictorial Statistics』を参照して、1930年代のアイソタイプ運動の代表的印刷物および制作者を概観する。次に、アメリカにおけるアイソタイプ運動の興隆の背景に同時期のニューディールがあったことを示す。最後にアメリカでの特徴として「アメリカ化」としばしば形容されていた図像統計のあり方について考察を加える。