我々はこれまでに立位保持訓練のための下肢他動的運動機能を実装した起立運動装置を開発し、その装置について健常者を被験者とした実験から、下肢容積の変化率が立位安静と比較して下肢他動的運動では減少することを報告した。本研究は、脊髄損傷により下肢に麻痺のある被験者による、立位安静時の下肢容積の変化率と、下肢他動的運動時の下肢容積の変化率を計測している。各条件で比較した結果より、起立後25分間の立位安静では立位安静時の下肢容積が1.85%増加したのに対し、下肢他動的運動時では増加しなかったことから、下肢他動的運動は脊髄損傷者にとって有用性が高いことが示唆された。加えて本報告では、起立運動装置を利用した脊髄損傷者のインタビュー調査から得られた「模擬的であっても歩行したい」という要望を実現するため、上肢の運動を動力とした下肢他動的運動と自走機能を備えた立位移動運動装置の機能試作を実施したのでその内容を明らかにしている。