抄録
本研究の目的は、香りによって連想されるイメージと表現される図形(カタチ)との関係を探ることである。被験者1名ずつに5種類の香りを嗅がせながら、タブレットPCで稼働させた実験ツールを使用させて、嗅いだ香りから連想したカタチを描かせる実験を行った。また、描画後に香り刺激に対する印象評価と連想したイメージを口頭で質問し回答させた。被験者として、情報系大学の学生22名の協力を得た。呈示刺激には、5種類の精油(イランイラン、オレンジ・スイート、ペパーミント、ラベンダー、ティートリー)を用いた。実験によって合計110個のカタチを取得できた。取得したカタチについて、類似するカタチを同一刺激内で探した結果、8グループが見出せた。また、類似するカタチを複数刺激間で探した結果、3グループが見出せた。そこで口頭回答させた連想イメージも踏まえて考察した結果、次の2点がわかった。1.香りが判別されると具体的なイメージが連想されるため、類似するカタチが表現されやすくなる。2.異なる香りによる異なる連想イメージでも、類似するカタチが表現される可能性がある。