抄録
東京電力福島第一原子力発電所の事故に起因する、放射性物質の拡散により、放射線測定器のユーザは非専門家へと拡大した。本研究は、既存の測定器が一般ユーザのニーズを十分に充たしていない点に着目し、ユーザに放射線に関する必要な情報を提供し得る機器のインタフェースデザイン開発を目的とする。 実験結果から、放射線の測定機に求められるインタフェースデザイン上の特質が明らかとなった。また放射線のリスク認知や測定器への関心が、福島原発からの距離によって異なるのか、与えられる情報によってそれらが影響を受けるのかを明らかにするため、ユーザの調査を行った。放射能漏れを想起させる主観的文脈と客観的文脈の刺激情報を使用し、補助尺度としてSTAI-JYZの状態不安、特性不安尺度を用いた。 主観的文脈情報を与えた場合、筑波群のほうが、岡山群と比較して、放射線のリスク・イメージが低くなることが明らかとなった。また、主観的文脈を与えた場合、岡山群において、状態不安とリスク・イメージに負の相関がみられた。以上の結果及び、文献調査、現地調査から得られた情報を考慮し、測定値を視覚的に提示する機器のインタフェースを提案した。