抄録
人類によって創出される情報量は日々爆発的に増大している.際限なく複製される「情報洪水」の時代にあって,世界についての見通しをよくする「情報デザイン」のあり方は,わたしたちの生存環境である情報環境において重要な課題である.
本研究は、情報デザインを創出する思惟の根底及び構成原理・構成法について理論的に考察するものである.ここで情報とは,差異の存在認識一般をいい,情報の定義としては広義のものである.現象学的方法の応用を通して,二つの現象系を重ね合わせて見る視線の運用法及びその原理について考察した.「汎デザイン論」の立場から提案されるこの構成法を通して,デザイン発現の過程として世界をみるとき,諸相の複雑性は縮減され,より平明に理解可能となることが期待される.