本研究は,ショッピングモールのような商業施設の店舗において,展示されている商品を手に取り動かすことでデジタルサイネージの表示情報を直感的に操作する,実世界指向型のインタラクティブサイネージのデザイン研究である.持ち上げられた商品の傾きを検知し,その傾きでブロック状のグラフィックを動かす実世界指向型インタフェースを搭載した,商品広告のためのサイネージシステムを提案する. 今日,商業施設の一部では,大型画面を備えたインタラクティブサイネージの導入が試みられているが,これらのサイネージのインタフェースは,タッチパネル,もしくはジェスチャー操作のバーチャル指向であるため,情報を直接的に操作している実体感が乏しい. そこで今回は,導入場所をスポーツブランドショップに設定し,店頭に展示されているランニングシューズをインタフェースとしたシステムを構築した.ランニングシューズを手に取り,持ち上げ,動かすことで,サイネージの情報が変化するプロトタイプを被験者に触れてもらい,その操作感を評価した.