抄録
「土と人のデザインプロジェクト – ゲストハウスをつくる」(名古屋芸術大学)の実例を検証し、地域における新たな関係と価値醸成のための場・メディアづくりとそのプロセスについて論じる。事例では、地域資源の顕在化・共有・発信を目的としゲストハウスがつくられた。従来の地域拠点づくりが、まず空間を用意することから始められることが多く、空間とコンテンツとの関係が希薄になりがちであったのに対し、本事例では、空間計画の前段階で行われた地域の魅力抽出作業と、地域の方々との関係構築過程とが重なり合っていたそのプロセスに注目する。そうした方法を経ることにより、場と関係が同時に現れてくる。それがその後の場の在り方に大きな影響を与えると考えられる。また、地域の「資源」を集積しゲストハウスをつくることにより、魅力を体感的に外部の方々に伝えるためのメディアとして、ゲストハウスを機能させたことにも注目する。基礎的リサーチが重要な起点となり、多様なステイクホルダー間の関係の結節点として場が生み出され、地域の生きた価値を伝える装置としてはたらくような方法は、今後の地域の場やメディアづくりのモデルとなり得るのではないか。