抄録
18世紀の産業革命以降,デザイン分野と工学設計分野の二つのデザインに分業され,その後の専門化に伴う科学技術の進歩により,物質的に豊かな社会が構築された.しかしながら,デザインや工学設計といった領域への分業化・専門化は,同じ土俵を持たないことによるデザインの言語や概念,価値観などにおける差異を生じさせ,デザイン情報の共有や協調デザインにおける難しさという課題を生み出した.そして,大規模事故の発生,大量廃棄による環境問題,精神的な充足の必要性など,デザインが引き起こした多くの問題に対する統合的な対応が求められている.そのような対応の一つとしてデザイン統合が挙げられる.
本研究においては,デザイン統合に向けて,デザインと工学設計の二つのデザインの特徴を明確にした.その際,包括的な観点から各デザインを扱うことのできるデザイン科学の視点に基づく分析を行った.具体的には,同科学におけるデザイン理論の枠組みである多空間デザインモデルの視点に基づき,デザインと工学設計の研究論文を分析し,両デザインの特徴を明確にした.