日本デザイン学会研究発表大会概要集
日本デザイン学会 第63回研究発表大会
セッションID: A6-05
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16世紀にみられる風流踊装束
小出 真理子
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抄録

本稿では16世紀頃を中心に、風流踊装束の詳細を時系列にして変遷を追った。その際、近世初期風俗画における風流踊装束の詳細を考察した。天文年間を過ぎるころには、特に囃子方の装束に半臂が現れ始めるようになる。この装束については天文期以降の風流踊、囃子方特有のものと考えられた。その後、永禄初年頃には精細に装束表現がなされ、多彩な変化が見られた。囃子方と中踊の装束については、東博模本に現れた半臂などは本図でも見受けられた。また、笠などの頭頂についた飾り物がより明確に表現されていた。このころから、風流踊装束は、日常着の延長として着用されていたものから当該期特有の装束へと変化してきたといえる。その後、踊衆装束の様相は、より色彩も華やかに、意匠も精細に表現されるようになってきた。囃子方の装束では、やはり半臂を着用している様子が見られ、この様相から囃子方の装束の定型ではないかと思われる。半臂とは礼服の一種であるが、風流踊により近い芸能装束では舞楽の常装束で用いられる半臂を彷彿させ、文献においても、舞楽と風流とのとの関連についての記述が見られることから、本図は、舞楽と関連する風流が描かれていると指摘した。

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