抄録
本研究は、彫刻家でありながらも生涯を通して家具をモチーフに作品を制作した家具デザイナーでもあるスコット・バートン(1939-1981)が制作した家具デザインについて、その形態的特徴とデザイン手法の展開について分析的な方法を用いて明らかにするものである。 バートンは、アメリカ合衆国では彫刻家またはパフォーマンス・アートを中心に展開し、ミニマリスとの一人として知られている。だが、日本においては、家具デザインのみならず、それらを含めた作品が未だに紹介されていない。本研究ではバートンが作成した家具60作品を網羅し、「素材」・「構成要素」・「構成法」の3つのカテゴリについて、それぞれ分類した。さらにこれらの分類を年代を追ってみていくことにより、バートンが多用した手法の変遷とデザインの特徴について明らかにした。また、彫刻家でもあることから、「彫刻的な作品」と「家具的な作品」とに分類していった結果、それらのどちらの要素も兼ね備えている、またはそうしたカテゴリに分類できない「拡張された作品」として位置づけられるものが多数存在していることが明らかになった。