抄録
多くのデザイナーは,デザインにおいてスケッチを活用する.一方,デザイナーに求められる造形力の育成において,目の前に置かれた対象物を観察し表現するデッサンが重視される.多くの場合,スケッチでは対象物の形状は輪郭線で表現されるのに対し,デッサンでは面に表現される光の陰影で表現されるなど,両者は描画の目的や,表現方法に相違点が見られる一方,透視図法や陰影の表現方法といった描画方法には共通点も見られる.本研究では,同一の対象者により描かれたデッサンとスケッチを比較することで,デッサンの描画スキルとスケッチの描画スキルの関係を分析し考察した.その結果,デッサンの描画スキルとスケッチの描画スキルは異なるスキルとして習得されるものの,透視図法や陰影表現などの基礎的な表現スキルは,共通するものとして活用されることが示唆された.