抄録
本稿は、人と造形物の触れ合いや関係性の構築を目的に制作した段ボール製造形物の紹介と、それらを実際に展示して、観察した結果をまとめたものである。本研究では、人の「触れたいと思う気持ちや、実際に触れるなどの行為を引き出す」という目的を定めた。はじめに、日常生活で触れる機会が少ない動物である「虎」、「羊」、「ガラパゴスゾウガメ」をモチーフに、人が触れることを前提とした造形物の制作を行った。造形物には、破損した際に修復が容易な素材を使用する必要があったので、手に入りやすく、加工が容易な素材である段ボールを使用した。造形物ごとの、手を触れた時の質感の違いを表現するために、段ボールの特徴的な波目を活用した表現に加えて、切る、破るといった加工を行った。それぞれの造形物の展示観察から、すべての造形物で手を触れる様子を確認できた。実物大で制作したことと、段ボールという身近な素材を用いたことが、造形物に対する親しみや好奇心を引き出し、触れることを誘発した要因であると考える。