近年、まちや地域において様々な観光ツアーや地域づくりを行う動きが見られる。しかし、現状のツーリズムはガイドが付くことにより参加者は客体的な体制から「まち」へ関心を示していくことになる。そこでガイドからの一方的な解説による学習ではなく、参加者が主体的に体験できるツアープログラムにすることでより地域理解は深まるのではないかと考え、「まち」を理解するという行為を体験的理解、広域的理解の二つの視点に分解し着目した。
この地域理解の要素を抽出するために、主体的なプログラムである「すみだの光発掘プロジェクト」と客体的なプログラムである「立山インフラツーリズム」における調査・検証から得られた知見から対比を行った。その結果、まちの見方に違いがあり、主体的なプログラムは「まち」に潜んでいる細部の景観を捉えることで体験的な理解につながり、客体的なプログラムは地形や歴史から地域全体を捉えていることから広域的な理解につながっていることがわかった。
また、主体的なプログラムは個性を尊重することで地域の魅力と向き合い新たな地域性を発見する。これらの考察した結果に基づき、まちの捉え方に違いはあるが主体的なプログラムは客体的なプログラムより地域理解を深めることを明確にした。