抄録
これまでの親子を対象にした行動観察手法によるコミュニケーションの評価は、子どもの行動・情動に焦点を当てられてきたが、母親の行動・情動にも対して相互の応答行為にも焦点をあてて詳細に分析することが必要だと考えられる。
本研究は、母親の行動・情動、親子のコミュニケーションに着目したカテゴリー表を新たに作成することを目的としたものである。分析の対象として、触覚感から誘発される遊びを題材にしたクリック感の有るデザインと無いデザインを検討モデルとして制作し、行動観察を行ない新たなカテゴリー表を用いて検討をおこなった。その結果、子どもの行動・情動だけの要因だけでなく母親の行動・情動、親子のコミュニケーションのカテゴリー項目を増やすことで
1.複数のカテゴリーが同時に生起する重なり合いを示すこと
2.時間軸を加える事で他との行動カテゴリーとの関連性を見いだすこと
を示すことができた。
以上のことから新たなカテゴリー表の適用は、親子のコミュニケーションの深浅のレベルを分析するのに役立ち行動カテゴリー表の使用は有効であることが示唆された。